2017年10月09日

千光寺・行者堂戸閉式

 一昨日(10月7日)、奈良県平群町の元山上・千光寺で戸閉式大法会があり、それを見学に行き
ました。実際には千光寺行者堂にある「役行者(役小角)」の像の扉を閉める儀式です。
 山開きの反対で山閉じの儀式でもあります。(毎年10月第一土曜日開催)

 千光寺は生駒山の中腹(350m)にあり、麓(50m)から300m程登ることになります。
 また広島県尾道市の千光寺が有名ですが、同じ真言宗のお寺ながら建立は奈良の千光寺の方
が200年近く古いようです。

 町内ウォーキング会2度目の参加でした。朝8時に駅で集合し電車で近鉄生駒線の元山上駅で下
車しました。今回は小雨ということもあって若干参加者が少なかったようです。(17名:前回は23名)

 駅に降りると大勢の人がたむろしていました。受付のような台があり名前を記入していました。我々
の団体とは違う会だろうと思って通り過ぎようとすると、我らの会長様がその受付へまっしぐらに近づ
き、一番に名前を記入されました。それで我々もこの催しの参加者だということが判りました。

 名前を記入するとパンフレットの袋を手渡され、我々も一か所に集合させられました。確認すると
第5班でした。ボランティアの方が2人引率で付くことになり、当日の行程や注意事項の説明があり
ました。全部で100人位の参加者でした。この日は小雨模様だったので参加者が少なく、多い日は
2~3百人が来られるようでした。

 1班から順番に出発し、要所要所でボランティアの方の説明を聞きながら千光寺を目指しました。
 千光寺は役行者が飛鳥時代に修行中に千の光を放つ千手観音が出現したので「千光寺」と名付
けたようです。寺伝によると28歳から42歳までここで修行したようです。

 その後大峯山に行きそこで大峯山寺を建立し修験道の開祖としての位置づけを確立したようです。
 場所は大峯山系(大峰山脈)の中ほどに位置する山上ヶ岳(1719.2m)の山頂近くに本堂を立て
ました。千光寺を元山上というのはこのことを言われているようです。

 千光寺本堂の前でしばらく待っていると、和尚さん(らしき方)が来られて約100人の聴衆の前で
法話を始められました。基本的には健康の話で歩くことが一番健康に繋がっているというものです。

 今回の参加者は麓から歩いてきているので皆さん方のような方が長生きしますと言われ、今後も
歩くのを続けると100歳までは大丈夫と言うような話で結ばれました。息子はタバコを買いに行くの
にも車を使うとぼやいておられました。

 その後「うどん」の振る舞いがあり、皆で食堂に並んで頂きました。料金は無料ですが、受け渡し
場所に「寸志」のお盆がありましたので100円入れておきました。ネギと蒲鉾一枚が入った素うどん
でしたがすきっ腹だったので美味しく戴きました。慣れた人は持ち込みでオボロコンブや天かす等
を追加してバージョンアップした食べ方をしていました。

 その後しばらく待っていると、いよいよ法螺の合図とともに法要が始まりました。般若心経を初め
に多くの読経があり、関係者(町長以下の有力者、地主さん)が順番に戸閉式の会場に移動され
ていきました。

 会場ではすでに準備が整っており、結界のしめ縄や護摩炊きの火床など関係者の到着を待つば
かりとなっていました。先回りして会場で待っていると法螺貝の山伏を先頭にお坊さん達が入場さ
れました。そこからは古式にのっとった各種の儀式が執り行われました。仏教の儀式というよりも
修験者の儀式の色彩が強いなと受け取りました。人数的には山伏の方が多いようでした。

 儀式の山場は護摩床に火が点火される時で、そこからは灰色の煙が黙々と立ち上がり、あたり
一面を法螺貝の音とともにより厳粛な場所に仕立て上げていました。最後の方では赤い炎が数
メートルも立ち上がり儀式も最高頂の内にお開きとなりました。

 その後行者堂の中で「役行者」を拝められるということで中に入っていき、実際の役行者像に
触って無病息災を祈願しました。実際に触れられるとは思っていませんでしたので懐の深さに
ビックリした次第です。行者像の脛(すね)などは黒光りしていました。

 この日は護摩炊きの行事が中心で役行者像の扉を閉めるカギを手渡すという儀式でした。
 実際に扉を閉めるのは翌日の10月8日の行われたようです。来年の4月第一土曜日には「戸
開式」(山開き)が執り行われるようです。

 すべての行事が終わると下山を開始しました。途中で麓近くの「生駒山口神社」に立ち寄り、
その歴史と謂われの説明をボランティアの片から聞きました。山口神社というのは全国に数百
社ほどあり、仏教伝来以前からの農耕民族の営みの中で神様を祀っててきたようです。

 この生駒山口神社には変わった風習があり、年一回神様が氏子の家にお渡りされると言う
神事が行われているようです。氏子の家の庭に「オハキ」という祭壇を作り神様を一週間ほど
おもてなしをするというものです。今年は昨日(10月8日)がその日に当たるようです。このような
風習は柳生の山口神社でも「回り神明」という名前で伝わっており、全国で調べればまだ沢山
あるのではないかと思いました。

 事前のアナウンスがなく普通のハイキングだと思っていましたら、大きな行事が行われる場所
へのハイキングでした。聞くところによると昨年も参加したということで、知らぬは新人の二人だ
けだったようです。昨年は大きな牡丹餅がふるまわれたが今年から取りやめになったということ
で皆さん残念がっていました。途中で饂飩の振る舞いがあったために、結局持って行った弁当は
食べる機会がなく夕食の時にお腹に入りました。とりとめのない長文で失礼しました。


         「女人山上道」とあり役行者の母親もお参りしていたということで、
           大峯山は女人禁制ですがここ千光寺は大丈夫のようです。
        この母親は役行者が大峯山に登ってもここで修行を続けたようです。
千光寺・行者堂戸閉式


       鳴川大橋です。下を流れる川は「鳴川川」です。名前がユニークですね。
千光寺・行者堂戸閉式


       元山上駅から千光寺へ向かうハイカー達です。総勢100名はいました。
千光寺・行者堂戸閉式


            護摩炊きの前の神事です。祝詞が密教の言葉でした。
千光寺・行者堂戸閉式


          同じく密教の行事で東西南北四方の邪気をを払うものです。
千光寺・行者堂戸閉式


        いよいよ護摩炊きが始まります。その前に火つけの行事がありました。
千光寺・行者堂戸閉式


             護摩炊きが始まりもうもうと立ち上がる煙の前で
             僧正が般若心経以下の読経を唱えてていました。
千光寺・行者堂戸閉式


           女人禁制ではないため女性の山伏もかなりおられました。
千光寺・行者堂戸閉式


         行者堂の「役行者像」です。脛(すね)あたりが黒光りしていました。
       この扉が10月8日に閉じられ、来年の4月第一土曜日にまた開けられます。
千光寺・行者堂戸閉式


     麓の「生駒山口神社」です。スサノオノミコトとクシナダヒメの2柱が祀られています。
 年一回の神様をお迎えする珍しい風習「オハキツキ」が行われています。これも10月8日でした。
千光寺・行者堂戸閉式











 
 
 


 

 

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Posted by PANDORA at 10:26│Comments(4)寺社めぐり
この記事へのコメント
ユニークなイベント・行事に立ち会うことが出来た有意義なウォーキングだったですね。
役の行者はまさにスーパーマンですね。
弘法大師に負けないくらい全国を廻っているようで、
我が郷里・石鎚山を開山したのも役の行者だそうです。
九州でも英彦山・背振山などでも役の行者を祀っていました。
Posted by dojyou38 at 2017年10月10日 21:17
dojyou38さん

 こんばんは!

 先ほど北陸旅行から戻ってきたところです。

 役行者は彼方こちらに名前が出てきますので、今回の記事も
どこまで事実かどうかは判りません。

 ただ実在の人物で各地に修験者としての足跡を残しているこ
とは事実のようです。

 来年も行くことになるかも判りませんので、もしその時はもっと
詳しい情報を持って出かけたいと思っています。
Posted by PANDORAPANDORA at 2017年10月11日 22:08
 お早うございます。
 丁寧な説明で、当日の行動がよく分かりました。あなたの健脚が羨ましいです。
 我々俳句グループも来週、求菩提山の麓の温泉宿で句会を開きます。役行者の情報があるかもしれませんね。
 
Posted by shige at 2017年10月13日 09:38
shigeさん

 こんばんは!

 コメントありがとうございます。

 求菩提山は英彦山、犬ヶ岳と並んで修験道の山でしたから、
役行者とも繋がりがあるのでは!

 お酒を飲みながら?の句会も一考がありますね。秀逸な句が
出来ることを奈良の地から応援しています。

 
Posted by PANDORAPANDORA at 2017年10月13日 20:29
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