2018年09月28日

東北10景ベストハイライト・その2

 東北旅行三日目は岩手県の平泉・中尊寺です。雫石高倉温泉からバスで移動しました。ここは今
回一番行きたかったところです。駐車場から少し脇道を上がったところに境内の入り口がありました。
 入り口の「讃衡蔵」(さんこうぞう)で添乗員さんから拝観券を貰い参道へ向かいました。直ぐ側に
「金色堂」がありましたので先ずはそちらに入りました。

 所謂お堂そのものが金色に輝いているという建物です。写真撮影は禁止でしたのでデジカメをバッ
クに仕舞って中に入りました。やはりお堂そのものが金箔で光っていました。中の仏像は阿弥陀如来
を中心に観音・勢至菩薩、地蔵菩薩、持国天、増長天が取り巻いていました。

 小生の浄土真宗も「阿弥陀如来」がご本尊なので少し親近感を感じました。柱は螺鈿細工や蒔絵
で飾られ平安仏教美術の最高峰とのことでした。中尊寺は1124年の建立ですが、金色堂以外は全
て火災等で焼失しています。金色堂のみが約900年前から残っている建築国宝の第一号とのことで
した。

 900年を経過しているため仏像の一部は金箔が薄くなって黒光りしていますが、そこに歴史の重み
を感じることができました。仏像の下の須弥壇(しゅみだん)には初代藤原清衡公、二代基衡公、
三代秀衡公の遺体、および四代泰衡公の首級が納められているとのことでした。所謂一般的にはお
墓に相当します。

 その後、経蔵や釈迦堂、白山神社、阿弥陀堂を見学し、讃衡蔵では三千を超える国宝・重要文化
財を展示しており、それらを拝観できました。一番印象に残ったのは「金銀字交書一切経」で、お経の
文字が一行ずつ金文字と銀文字で交互に書かれているお経の巻物でした。

 これは全部で5400巻と言われており、初代清衡公が指示して9年の歳月をかけて写経されたよう
です。現存するのは中尊寺に15巻、高野山金剛峰寺に4296巻、大阪・河内長野・観心寺に166
巻、東京国立博物館に12巻、大阪・箕面・瀧安寺に5巻、京都国立博物館に1巻、合計4495巻です。

 高野山金剛峰寺に多くに移されたのは16世紀末に豊臣秀吉が命じて持ってきたようです。関西に
多く残っているのは、その途中か後に何らかの理由で移されたものと考えられます。中尊寺と高野山
のお経は国宝に指定されています。900巻程不明なので全国のお寺に残されているものと思います。

 もし自分の家の蔵にこの「金銀字交書一切経」があったら国宝級の巻物になります。因みに台紙は
やや濃い紺色の紙に書かれており、正式には「紺紙金銀字交書一切経」(こんしきんぎんじこうしょい
っさいきょう)と呼ばれています。写真を載せておきますので蔵または土蔵を調べてみてください。

 その後は中尊寺の本堂や弁慶堂などを見て月見坂を駐車場へと降りて行きました。駐車場の近く
には、弁慶のお墓と「五輪塔」があり、そばには大きな松が生えていました。

 中尊寺拝観を終えると、次の目的地宮城県の日本三景の一つ陸奥の「松島」へ向かいました。残り
の二つは安芸の「宮島」と京都府北部にある宮津の「天橋立」でどちらも体験済でした。天気が心配
されましたが、何とか傘もいらない状態で松島湾から観光船に乗り湾内を一周しました。

 松島観光船はツアーのオプションだったので湾内を30分程クルーズして港に戻ってきました。湾内
には大小の島があり、松の木で覆われていました。松島の謂れが理解できた一瞬でした。もちろん
全体の一部だけの観光だったので、次回はゆっくりと時間をかけて回りたいなと思いました。

 松島観光を終えると集合時間まで自由散策でしたので、港近くの「瑞巌寺」へと足を運びました。
 この寺は正式名称を「松島青龍山瑞巌円福禅寺」といい、828年に比叡山延暦寺の慈覚大師円仁
が建立し天台宗「延福寺」と命名されていました。鎌倉時代末期に臨済宗「円福寺」と改名されたよ
うです。

 その後戦国時代を経て臨済宗妙心寺派に属するようになり、関ケ原の戦いが終了した後、伊達政
宗が神社仏閣の造営を行い、都から名工130名を招き寄せ慶長4年(1609年)現在の形になったよ
うです。瑞巌寺と言う名前は伊達政宗により1608年に改称されました。伊達家の菩提寺です。

 瑞巌寺で驚いたのは境内に入る早々沿道の右脇に「洞窟遺跡群」が100m近く掘ってあったこと
です。 資料によると江戸時代以降に掘られて中には塔婆、五輪塔、戒名等が無数に刻まれ、供養
場として使用されていたようです。西国三十三ヶ所の観音像と寺名の立て札も置かれており関西と
の縁が如何なるものか謎が深まるばかりでした。

 また境内の山門の直ぐ横には「法身窟」があり。鎌倉時代の石碑があることから古い窟は江戸時
代以前から掘られていたであろうことが予想されました。本堂は平成の大修理で今年3月から拝観
可能になったようですが、小生としては「洞窟遺跡群」が一番印象に残りました。


 瑞巌寺を見終わったところで集合時間が迫っていることに気が付き、「牡蠣丼定食」を食べるつもり
だったのが「天ざる蕎麦」に変わったのが残念でした。従いましてもう一つ予定していた「五大堂」の
見学ができずにバスに乗り込みました。次に仙台に来た時には是非再見したいと思っています。

 三日目の予定を無事に終了しバスは最後の訪問地福島を目指しました。今回の宿は五色沼近くの
「アクティブリゾーツ裏磐梯」と言うホテルでした。ホテル到着後は温泉に浸かりバイキングの夕食を
楽しみました。(続く)


      出発の朝、ホテルの前に止まっていたバスに乗り込んで写した「岩手山」です。
東北10景ベストハイライト・その2


                     平泉・中尊寺の金色堂です。
東北10景ベストハイライト・その2


                    松島を訪れた「芭蕉」の銅像です。
東北10景ベストハイライト・その2


                   中尊寺本堂の「阿弥陀如来像」です。
東北10景ベストハイライト・その2


       中尊寺・讃衡蔵にあった「紺紙金銀字交書一切経」です。写真はネットより借用。
東北10景ベストハイライト・その2


            観光船から見えた「松島」です。確かに松が生えていました。
東北10景ベストハイライト・その2


                    松島港の歓迎の看板です。
東北10景ベストハイライト・その2


              瑞巌寺の洞窟群の最初にあった「鰻塚」です。
                昔の松島では鰻が良く獲れたようです。
東北10景ベストハイライト・その2


          洞窟群の中に西国三十三観音巡拝所の立て看板がありました。
東北10景ベストハイライト・その2


                 西国三十三ヶ所のお寺の観音像です。
東北10景ベストハイライト・その2










 

 

 

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Posted by PANDORA at 22:01│Comments(2)寺社めぐり風景
この記事へのコメント
おはようございます。
また巨大台風が日本を縦断しそうです。被害が少ないことを願っています。
朝から家の周りの台風対策をしていましたが雨が降ってきました。

平泉は高3の時、修学旅行でなくある団体の全国大会が宮城の青根温泉キャンプ場や仙台などであり、
そのとき足を延ばして訪ねましたが金色堂の鞘堂がななく写真も撮れました。
でも、詳しくは拝観していないので機会があれば再訪したいところです。
金銀字交書一切経のこと朧げに何かの写真で見たこと有りますが詳しくは知りませんでした。
行方不明の国宝実家に眠っているか探したいところですが蔵がありません。

松島も訪ねたいところですがまだ機会がありません。
瑞巌寺が天台宗の寺院として建てられたことは知りませんでした。
洞窟群、使われ方が鎌倉の矢倉に似ています。
鎌倉の矢倉は岩が脆いので崩壊が進み当時の面影がありませんが・・

続報楽しみにしています。
ところで、奥様の姿が見えないのですが、まさか1人での参加ですか。
Posted by dojyou38 at 2018年09月29日 11:01
dojyou38さん

 こんばんは!

 またまた大型台風の襲来で全国的に大変ですね。
 こちらも今は秋雨前線で雨が降っていますが、明日の午後からは
台風の影響が出そうです。

 平泉の中尊寺と陸奥の松島に行きたかったので今回のツアーに
申し込みました。他はおまけです。

 松島は時間切れだったので、もう一度何かの機会に訪れてみた
いと思っています。

 家内は出不精と体調の関係で同行できませんでした。本人曰く
「亭主元気で留守がいい」とのことです。
Posted by PANDORAPANDORA at 2018年09月29日 17:14
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